Reproducing all or any part of the contents is prohibited.
文章や写真の転載・複製を禁じます。
第一話 葦原の皇子と春の武人
【前書き】
急いで執筆した待望の第一話
もうちょっと続きもあるのですが一旦切りました。
説明不足感もあるので後々修正と肉付け予定です。
わかる人にはわかる神話・歴史ネタも入れたのでよろしければ見てくださいませ。
登場人物は神威(神丸)、桜花、海火弥
新月神話伝より
葦原(あしはら)の國
この神話時代はイワレヒコという大王(おおきみ)が治めていた。
皇后にはイスケヨリヒメ。
広大な葦原には様々な現人神(あらひとがみ)と人間と妖怪が住んでおり争いながらも共存していた。
とある海辺の集落
海神の巫女は禊ぎを終え静かに目を開けた。
蒼花の髪飾りを付け白い蓬莱の純白の衣を纏い鏡を首にかけた。
彼女の名は海神海火弥(わたつみ みかや)
真っ白な髪に鮫のような鋭い眼光を持つ海神の娘である。
幼馴染である神丸(かんまる)は葦原の國の皇子であり、孤独な鳳凰の理解者であった。
神丸の曾祖母は海火弥とは縁戚にあたる、それゆえ彼らは幼少期を共に過ごした。
……私(わたくし)が
私(わたくし)がやらなければ。
幼馴染にだけ背負わせたりはしない。
これから起こるであろう苦難と波乱に向けて強い覚悟を決めて、亡き母の羽を見つめた。
鳳凰の神託と加護を受ける為に彼女は一人海へと潜った。
たとえ妖怪の血を引く彼女と彼でも旅に出るにはあまりにも危険過ぎる。
一方、神丸は養育係である側近の桜花(おうか)に武芸の稽古を付けられていた。
というか一方的に負け続けていた。
「痛いぞ桜花、もっと優しくせぬか……」
「皇子、これぐらいで根を上げていてはいけませぬ。
桜花はまだ遊び程度の力しか出しておりませぬよ。」
神丸は彼に合わせた短めの刀を離し痺れた手をさする。
桜花は春に相応しい桃色の髪を背中まで靡かせた長身の女性であり、凛とした武人。
慈愛を兼ね備えた瞳は優しく少年を見つめる。
「そなたが本気を出さなくても儂が敵うわけが無かろうに
蹴鞠なら誰にも負けぬのになぁ。」
「皇子、人には向き不向きがあります。
自信を無くさず最低限の武術だけは覚えてくださいませ……
必ずやこの桜花めが貴方を御護りしますから大丈夫ですわ。」
母のような姉のような彼女は神丸を優しく抱き締めた……
が
「苦しい苦しい!」
桜花は春の里の出身で山の民である為、常人よりは怪力なのだ。
「申し訳ございません皇子……!
皇子しっかり!」
「いや構わぬ、儂の母上も山の民であったから慣れておる。
桜花程力強くは無かったがな!」
海火弥と違い神丸は特に先の不安を感じてはいなかった。
母のような桜花と姉のような海火弥がいれば自分を支えてくれる、自分も彼女らの主に相応しいようにこの旅で精進するつもりだ。
「ところで、儂の護衛に付く男はどんな奴なのじゃ?」
桜花に髪を結ってもらいながら自分の配下となる男の話をする。
「烏(からす)族と聞いております、なんでも腕の立つ武人で葦原に来るまでに多くの人間を喰らったとかなんとか……」
「葦原では烏は珍しいものじゃったと聞いたが、我が父が助けられたから良い奴に違いないじゃろ。
儂はそやつと遊んでみたいぞ!」
「烏、族ですか……葦原を闇に包み込んだ際に災厄をもたらした種族でもありますが、我らの大王の恩人でもありますから複雑です。
桜花は皇子の純粋な心を嬉しく思いますが皇子、警戒は怠ってはいけませぬよ。
人間は儚く脆いのですから妖怪に戯れられただけで死にます。」
桜花のいつもの長いお説教が始まったところで神丸は今日から来る武人を待ち遠しく思っていた。
――――何やら女官達や家臣が騒いでいる。
「ご報告です、例の烏の武人ですが……来る途中で襲撃にあったようで」
「まあそれは大変!私が出ます、皇子は宮を離れないでくださいね!」
報告を聞くなり桜花は飛び出して行ってしまった。
しかし彼女は帰らず、心配に思った神丸は兵を率いて追いかけた。
【後書き】
偶然なんですが3月8日はたしか語呂合わせで海火弥の生誕日なので今日に相応しかったんですね。
イラストも何か更新したい!
【豆知識】
説明しよう、彼は蹴鞠をもっとも愛しておりその威力は某眼鏡少年の殺人サッカーに匹敵する。
つまりコ〇ンくんと同じような身体能力と考えてもらっていい。
本来この時代の流行りは打毬だ。
彼が影響を受けたのは恐らく海中の國・蓬莱の文化が進んでいるからであろう。
海火弥の着ている白いワンピースも蓬莱の衣装である。この時代の葦原ではワンピースってなんていうんだろう……