ザン×ユイム夫婦編、レイウ900年目ぐらい
- 鴉月語り部
- 2020年9月8日
- 読了時間: 6分

執筆日 2020年
――――嫉妬
ハァ…ダメだわ唯舞
嫉妬でグチャグチャよ
ウーヴェ様の時はこんなに嫉妬しなかった
彼が仮面を着けていたから言い寄る女性があまりいなかったのよ
溜息ばかり付いているとオルランド殿にお茶を誘われた
「唯舞様、地上は慣れませんか?
_なるほど、兄様の事で不安なのですね
うーん…私は、兄様は本当に唯舞様を愛しておられるので杞憂だと思いますよ
兄様が何か抱えておられるのは私も感じますが、それは唯舞様に打ち明けたいけど機が熟してないだけだと思います」
「…彼、何を隠しているのかしら
私に言えない事って政治絡みなのかしら
私も彼に近付けば相談してくれる?」
「私では力になれないでしょうが、きっとレイウとザドウの為に動いているはずです」
「ありがとう、オルランド殿
気遣わせてしまってごめんなさいね
今度クレハと八剱の稽古でも…」
_「…オルランド、油を売るにしても酷いな
私にも誘って欲しかったものだ
何を話した」
「すみません兄様…クレハくんと八剱くんの事で唯舞様と
唯舞様が兄様の身を案じて不安がられております
」
「それだけか?
」
「兄様、私はお二人の幸せを常に願っております
そんな私を疑わないでください…
私はザンユイ推しです」
後半意味がわからん
「お前、私と唯舞どっちに惚れている」
「どっちも好きです」
「!?」
三人でいける気質か…警戒しておこう
_深夜ズカズカと部屋に戻ると唯舞がいない
紫の部屋か?
いや、彼女の明日の衣が置いたままだ
暫く宮を探すと夜勤の兵やオルランドと話していた
固まる兵を他所目に微笑む妻が非常に憎らしい
「あら旦那様、宮に魔物が出たので私達で討伐しておりました
正体は狐でしたので私が腰を抜かしてしまって…」
「…そうか、部屋に帰るぞ」
(唯舞様、頑張ってください…ご武運を
唯舞様次第で俺等の命が繋がります)
_「…旦那様、良かったですわね
幽鬼でなく狐でしたのでわたくしアレルギー反応が…」
「そんな格好で男の前に出たのか」
「そんなって…下は寝間着ですが上は羽織ってますわ
慌ててすっ転んだのでちょっと乱れてるだけです」
旦那様がまたキレてる
―第三子・モミジができた辺りかしら
「感謝、するべきだな…天上でなければお前と出会うことも無かったのだから
」
膝枕する妻
「私が美人じゃ無かったら、貴方はどうでしたか?」
「愛したさ、貴女の内面に惚れたのだから…勿論容姿もな」
「今夜は、春の月が綺麗」
「お前がより一層輝きを増すな
ユイム…お前に似た娘が欲しい」
「クレハ、ヤツルギは男児でしたものね
後二人は女の子産みたいわ
烏みたいに、沢山産めないけど…
私は、貴方に似た娘が欲しいの
夫似を産むことは女の誉れですのよ」
―緑髪の女の子、目元は私
「あなた、ほら抱いてくださいな
」
紫とマイリが取り合って喧嘩
ヤツルギはチラチラ順番待ち
「モミジノガ
」
若紫がべったりで、マイリも
私の出番がなかなか無くてな
「私にはユイムがいるから構わんぞ」
「まあ、あなたったら…」
本編 長女・紅葉賀が生まれる前の話、これもお気に入りの話。
―【雨の日の二度目の求婚】
「…寒くないかユイム」
「ありがとう、大丈夫ですわ
でも…ザン様、手を握ってくださいな
」
―「…私たちの婚儀も、こんな雨の日だったな」
「もう、びしょ濡れだわ
あなた
私を庇い過ぎよ」
「愛する妻を冷やす訳にいかんだろう」
「あらあなた、眼鏡は…」
突然の口づけ
「んっ…」
「…あなた、いつの間にか間に随分上手くなりましたのね
その…水に滴って、いつも以上にハンサムだわ」
照れたユイムの唇をなぞる
「だろうな
惚れ直したか」
「…はい、旦那様…
これ以上惚れさせないで頂戴」
地上の別荘で
「来なさい、拭いてやろう
体を暖めんとな」
「はい、お願いしますわ」
―ザン様、抱き方が変わった
キスも上手い
香水も変わった…
「あなた、本当にダンディーになりましたわ…
私好み、憎らしいわね」
「お前だって、より一層私好みになったな
艶やかでっ、色気づいた…」
もうメロメロよ…
余裕、こんなニヒルな表情できたのね
…これを他に知る人がいるのかしら
そう思うと、涙が出てきて
「…ユイム?すまん、どこか痛かったか!?
加減したつもりが…すまん 」
涙を流す彼女が心配で
腰や背を擦る
「ん、違うの
続けて…もっと触れて欲しいの」
「駄目だ、これ以上はお前の体に響く
私の大切な妻を傷つけたくない」
今夜は何度も何度も愛を紡いだ
酔うような抱き方…
こんな、攻め方じゃなかった
「あっ…
あなた、もう少し一緒にいたい。行かないで」
彼は身支度を整え始めた
「名残り惜しいが、また行かねばならならくてな…
すまぬな、土産は何が良かろうか」
ユイムを抱き締めて、口づける
_「…やり捨てはいただけないねぇザンちゃん」
「ジジ上!?
いるならいると言え…気配を消すな!」
「最初から最後まで
ユイムさんが不安がってる、見てて可哀想だ」
「…言える訳が無いだろうに」
言ってどうする?
ユイムは会えないのに、辛いだけだ
それにマノヤは亡くなった…
「…もう一つ、パーティの件さ」
気になって部屋に戻ると枕に涙を流すユイムに会いに行った
「ユイム、泣いているのか…何故だ」
「…何?あなた、地上に妾がいるわね
香水も、抱き方も変わった
キスも上手い…
私に、飽きちゃった?」
「それはだな…その」
「話していただけないのなら…離縁しますわ
もう良いわ…連れて来なさいな、貴方の妾を
んっ…なによ、お愛想なんて…」
ちょっと…強引
「私が、お前を手放すと思うな…どれだけ焦がれたか
お前以外は汚くて、要らん
!!
私の独占欲、いい加減理解してくれ…
お前と片時も離れたくないんだ」
「…私に、飽きたからじゃないの?」
「…違うユイム、逆だ
お前の為に、ジジ上から色々聞いたのだその、色々と愛し方を
ワンパターンだと、子らにまで指摘された
それに、地上に行っているのは
ザドウ領で私の即位式があるのだ…父上の追悼とな
遷都するから、最後に即位式を形だけでもしろと…ヴァッサゴー様がな
…そこで
私の、皇后になって欲しいユイム姫
ユイム・マヒナ=キサナドゥになってくれないか」
「…私に?」
「クレハとヤツルギは皇子として名を刻む
勿論、お前は我が最愛の皇后として…
受けてくれるだろう?
最上級のドレスも、用意してあるんだ」
月の指輪、蝶のネックレス
「くどいけど…本当に、私で良いの?
恥ずかしいわ…貴方に釣り合う自信がないの」
「お前以外誰が相応しいと言うのか、地上でも我が妻になって欲しい
ユイム・マヒナ
強欲なのは理解している…」
「また、泣く…泣き虫だなお前は」
「嬉しい…嬉しいわあなた
」
今度は笑うユイムに、愛おしさが増す
抱き上げて
「私の月光蝶は、軽いな
ユイム…どうか、我が子を産んでくれないか
式に連れていきたい」
「無理し過ぎ
勿論…次は女の子にしましょう
貴方によく似た女の子」
「…ああ
ユイム、すぐ帰る
帰ったら今以上に愛し合おう」
「ええ…あなた、私待ってる」
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