コルボーVSゲオルギオス戦
- 鴉月語り部
- 2020年10月23日
- 読了時間: 8分

執筆日 2020/10/23
コルボーVSゲオルギオス
本編 ウヤ反乱時の第二回戦の話
登場人物は烏王創世記の三期
ほんの一部童話の引用あり
待っていてくれ…ベルジェリカ
私は貴女の自由の為に兄を殺そう
貴女に貰ったリコリスを胸に付けて
「どうして仲良くできないの…」
ベルジェリカの幻覚を使いアガレスを刺してやった
「母上…っ」
「騙されないで兄上さん!!それは幻覚…」
倒れ込むアガレス
「…残念だったな、時期皇太子はお前ではなく我が息子サミジナ…
ベルジェリカに似た赤眼に免じて命だけは助けてやろう」
我が娘ミトラはこの塔のどこかに隠れた
ー「…ベルジェリカ、迎えに来たよ!!
ベルジェ…?」
どこを探してもベルジェがいない
「父上…その」
「サミジナ、ベルジェリカはどこだ?」
「…母上は、もう…」
「…母上さんは、貴方と二度と会えぬことを嘆いて…フランベルジェで自害なされました
密通した罪を、重荷に感じて…貴方は何も悪くないと庇っておられました」
サミジナの代わりにミトラが口を開く
「…何故!!何故だベルジェリカ…」
「…貴方だけが、母上さんの生き甲斐でした
二度と会えぬことは母上さんにとって、生き地獄だったのです
…私は薄々気付いていました、貴方が真の父親だと言う事を」
ー 暫くベルジェリカの住居・右塔で彼女の衣を抱いて悲しみに打ちひしがれた
「何故…何故待っていてくれなかったのだ
私は、こんなにも強くなったのに…貴女の、為に」
「ベルジェリカ…私が、貴女への弔いに世界を捧げよう
貴女の為に支配しよう…私と、貴女の忘れ形見である子らと共に」
新烏王の即位式
捕虜の我が母グレモリー、兄の寵姫カラシア、リノンに見せつけるかのように王座に座した
「紹介しよう
1、2、3位
新烏王 ウヤ・グリフィン・レイウ
その子サミジナ王子、ミトラ王女」
新たな衣装を彼らに纏わせ、並ばせる
「4、5、6、7位
ゲオルギオス、アモン、ベヒモス、ライム」
「私こそが真の烏王、愚かな人間どもと古き烏を全て0に
この醜い世界を無に帰し、世界を1から始める
大洪水を生き延びた始祖のように」
「王妃は勿論、ベルジェリカ・フランベルジェ
私の最愛にしてたった一人の妻!!」
…ベルジェリカ様は亡くなられたはずでは…
と兵士たちがざわめく
「…気持ち悪ぃ奴だねぇ
幻覚で嫁さん作って」
とゲオルグがぼそっと漏らす
ー 第二回戦
老体の巨神コルボーが進撃してきた
弓矢で貫いても全くひるまず、ただ哀しい眼で海を歩く
「…何をしている、構わず射殺せ」
「…流石、石の巨神コルボー
ゲイボルグを構えろ、ゲオルギオス」
「その名で呼ぶなっつーの!!」
「ゲオルギオス、命令だ
ゲイボルグで奴を射殺せ」
「…」
渋々試しに一発打ってやった
散弾銃みてぇに飛散する魔の槍
「ちっ、下手くそめ…練習に付き合ってやったのに」
「チチチ…今のはわざと外したんだぜ?
おーい、コルボーのおっさーん
もう止めときな」
二発、三発撃ったぜ俺様
「…おいおいマジかよ
命粗末にするねぇ」
怒りに満ちた哀しい眼…
そんな顔すんなよぉ…俺らが悪者みてぇじゃねぇか
まっ、そうなんだけどね
「ゲオルギオス、儂はお主を信じて負った
根からの悪い子では無いと…口は悪いし嫌われ者で乱暴者であったが、お前は無意識に弱者を守る正義感が強いところがあった
何故、いたいけな子らや人間たちを虐殺した」
「…命令だから、悪い?
ガキ殺すのは俺だって趣味じゃねぇ…一瞬で何が起きたかわかんねぇからな
虫殺すみてーに簡単に消えちまう、命ってなんなんだろうねぇ」
「…ゲオルギオス、さっさと殺せ
遊ぶな」
「…こんの玉無し烏王うるせ~
後で始末書書くから、悪ぃ根暗
やっぱり俺様が最高に輝くのはこの一騎打ちなんだよ!!
観客もStageも揃ってる最高の舞台…
ゲオルギオス・ジャバウォック、出陣(で)るぜ!!」
禍々しい巨大な翼を羽ばたかせ天を駆ける
ゲイボルグを捨て、大きな双鎌タナトスとヒュプノスを携えて
兵士たちは戦慄する
その禍々しい赤翼と大鎌…炎のように銀と金のオッドアイをギラギラ輝かせて
金と銀に輝く黒髪…返り血を浴びるのが好きだからと白い衣を纏う
森で歌いながら殺戮を楽しむ彼を見た人々がジャバウォックと呼んだのが始まりだったという
Twas brillig, and the slithy toves
Did gyre and gimble in the wabe;
All mimsy were the borogoves,
And the mome raths outgrabe.
夕火あぶりの刻、粘滑ねばらかなるトーヴ
遥場はるばにありて回儀まわりふるまい錐穿きりうがつ。
総て弱ぼらしきはボロゴーヴ、
かくて郷遠さととおしラースのうずめき叫ばん。
Beware the Jabberwock, my son!
The jaws that bite, the claws that catch!
Beware the Jubjub bird, and shun
The frumious Bandersnatch!
『我が息子よ、ジャバウォックに用心あれ!
喰らいつく顎あぎと、引き掴む鈎爪!
ジャブジャブ鳥にも心配るべし、そして努ゆめ
燻り狂えるバンダースナッチの傍に寄るべからず!』
He took his vorpal sword in hand:
Long time the manxome foe he sought
So rested he by the Tumtum tree,
And stood awhile in thought.
ヴォーパルの剣つるぎぞ手に取りて
尾揃おそろしき物探すこと永きに渉れり
憩う傍らにあるはタムタムの樹、
物想いに耽りて足を休めぬ。
And as in uffish thought he stood,
The Jabberwock, with eyes of flame,
Came whiffling through the tulgey wood,
And burbled as it came!
かくて暴ぼうなる想いに立ち止まりしその折、
両の眼まなこを炯々けいけいと燃やしたるジャバウォック、
そよそよとタルジイの森移ろい抜けて、
怒どめきずりつつもそこに迫り来たらん!
One, two! One, two! And through and through
The vorpal blade went snicker-snack!
He left it dead, and with its head
He went galumphing back.
一、二! 一、二! 貫きて尚も貫く
ヴォーパルの剣つるぎが刻み刈り獲らん!
ジャバウォックからは命を、勇士へは首を。
彼は意気踏々いきとうとうたる凱旋のギャロップを踏む。
And hast thou slain the Jabberwock?
Come to my arms, my beamish boy!
O frabjous day! Callooh! Callay!
He chortled in his joy.
『さてもジャバウォックの討ち倒されしは真まことなりや?
我が腕かいなに来たれ、赤射せきしゃの男子おのこよ!
おお芳晴かんばらしき日よ! 花柳かな! 華麗かな!』
父は喜びにクスクスと鼻を鳴らせり。
Twas brillig, and the slithy toves
Did gyre and gimble in the wabe;
All mimsy were the borogoves,
And the mome raths outgrabe.
夕火あぶりの刻、粘滑ねばらかなるトーヴ
遥場はるばにありて回儀まわりふるまい錐穿きりうがつ。
総すべて弱ぼらしきはボロゴーヴ、
かくて郷遠さととおしラースのうずめき叫ばん。
歌いながら彼は舞い降りた、全身に雷を纏いさながら翼竜のように
「来いよ、空に
ゲイボルグじゃなくてタナトスとヒュプノスが相手したがってるんだ」
「ゲオルギオス!!お前のその戦闘狂な悪癖、憎らしいぞ妬ましいぞ」
と王座のウヤは叫ぶ
「雷鳴よ盛り上がれ!!
折角のゲオルギオス様のStageだぜ…
こんな愉しい殺し合い、もうアンタしかいねぇからよ
イェーガーは老いて張り合いがねぇ…あっちの方も早撃ちなんだろうな」
奴を生かしたのはナイショだぜ…強い奴は生かすんだ
また戦えるだろ?下剋上しに来いよ
激しい雷撃が彼を貫くが、奴も炎と地の柱で俺を貫く
「硬い俺を貫けるのは、やっぱアンタだよな…
ザンとノックスは張り合いがねぇ、俺に致命傷を与えれねぇクソ雑魚
さっさとコルウスも来いよぉ…今までの怨み、晴らしたいよぉ」
ー おっさんにボコボコに殴られた
最後に抱き締められて全身複雑骨折してるわこれ
そのまま地面に大股開いて墜落、ダッセー俺…
「ってぇ~!!!
お前もうちょっとカッコいい落とし方してくんね…
ファンに幻滅されたらどうすんだ…ベヒモスぐれぇしかいねぇけど」
って頭掴んで地に額打ちつけられた
マジ痛ぇ
首根っこ掴まれ
「…折れるもんなら折ってみろよ
アンタにできるかい?優しい優しい皆の親父さん」
俺なんかに涙流して、アンタは根が良過ぎる
ユエイに雷撃打ってやったら、ほら
アンタはそうやって自分を犠牲にして庇う
てっきりまたハグで骨折させてくるのかと思い、目を閉じて笑うと
「…儂もそなたと燃え尽きよう」
「は…ちょっと待てよ!!」
ヤバイ、抱き締められて発火しやがった
「待てよ待てよ待てよ待てよ
早まんな!!テメェが死んだらユエイは?ヨルゼは?」
「名前…言えたじゃないか、偉いぞゲオルギオス
お前は他の者の名前を覚えられない馬鹿だからな」
あっ、これ終わった
マジで死ぬ
俺の肉体が悲鳴上げてる
冥界の血肉が不死の炎で浄化されて、再生能力を封じられてる
再生できねぇ
「頼むからやめてくれよぉ…ゲオさんまだ死にたくないよぉ
まだ従妹(あいつら)全員抱いてねぇし…こんなむさくるしいオッサンと心中なんてやだよぉ
俺、良い子なんかじゃねぇし、復讐にオカン犯って目の前で姉貴孕ませたよぉ…
自分で引くぐらいクズだよぉ…」
死にたくない死にたくない死にたくない
大泣きして鼻水垂らしたよぉ
「ゲオルギオス、儂ともう一度
あの世でやり直そう」
その瞬間、ゲイボルグがオッサンの心臓を貫いた
何が起きたかわかんねぇ
ここ浅瀬だから使えたのか…玉無し烏王が?
アイツ使えたの?
カツカツと近付いてきて、アイツ俺に蹴り入れやがった
「…ゲオルギオス、見苦しいぞ
貴様は昇格させようか?それとも…私と同じ玉無しになるか?」
大泣きしてゲオさんぐちゃぐちゃだよぉ
おっさんも心臓と脚がぐちゃぐちゃだよぉ…
フラフラの体で立ち上がって、おっさんをいたぶるクソヤローの急所に思いっきり蹴り入れて壁にめり込ませた
「やり過ぎだろ…!俺の戦の邪魔すんな!!
勝負は負けたんだから、おっさんの勝ちだ」
「…いつものお前なら、私は壁を突き破っていた
まあいい、どうせ虫の息だ
帰るぞサミジナに回復させる」
「…じゃあな、親父さん
アンタとのぬるい家族ごっこ、嫌いじゃなかったぜ
あの世でゆっくり隠居しな…墓参りぐらいは行ってやるよ」
コルボー対ゲオルギオス
勝負は相討ちだが、ゲオルギオスの勝利扱い
しかしゲオルギオスは敗北と申告している
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