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パパ上の罪と苦悩

  • 執筆者の写真: 鴉月語り部
    鴉月語り部
  • 3月8日
  • 読了時間: 7分

執筆日 2020/10/04

パパレの罪と苦悩

前半シリアスで後半ギャグ


登場人物は烏王創世記の部族動乱時代

時期は一期です

月神で罪人・不死の血を引くパパレ・マヒナと

その血統を欲しがった悪魔紳士ウーヴェ(フォライー)の話


 パパレはウェンカム族の古代王家の血を引くモラクスの配下で

フォライーはモラクスの長男


パパレはずっと苦悩していた…主の命とはいえ、あの日我が家可愛さに裏切るようなことをしてしまった…

これは我の生涯の大罪。

たとえ主が許しても己で許しはしないだろう…



(…儂を売れ、マヒナは関係無い

生き延びて倅の力になってやってくれ)


呪術テレパシーで我に語り掛けてくる主モラクス

戦に負け、拷問を受けてからの処刑前だと言うのに…

我を庇ってくださった。


(…しかし我が主…我にはできませぬ…

主がいてこそのマヒナです、永久の罪人である家系であった我を救ってくれたのは我が主…)


(…ぬしの血統を利用していたに過ぎんわ、重く考えるな。

いいから儂を売れ、マノリタや娘っ子たちまで危険に晒す気か


倅の為じゃ…さあ、早う)


(主…貴方の嘘ぐらい、見抜いておりますよ…この御恩必ずや…)



「マヒナの者よ、そなたは無理矢理従わされておったというのは真か」


冷酷なレイウ族の皇帝ガミジンは冷たく言い放つ

「モラクスの子が王家に仇なす、いつかガミジンの子を殺すことになる」と予言が出たのを真に受けて…モラクスの子らを皆殺しにした。



我は震える指で主を指し


「…如何にも、マヒナはこの悪徳教祖に無理矢理従わされておりました

叶うならレイウ族の為にこの才を活かしとうございます。」


(…それでよい…それでよいのじゃ

さらば儂の忠臣

あそこで青ざめた倅が暴れ出さぬように、儂の術が消えたら頼むぞ…

倅に硬化呪術をかけてくれよ


あやつはキレると暴れて止まらんからな)


長子フォライー様だけは医学の勉強でオウギ族に行っておられたので免れたのだ…

処刑の日は先に母オイリ様が斬首されたのを見て、次は父が斬首される番…

モラクス様がフォライー様に呪術で硬直させていたから、ただ涙を流して眺めるしかできなかったそうだ…


「モラクスの処刑を!!!

邪悪な教祖を滅びぼせ!モラクスの子らは皆殺せ!」


ウェンカム族の古代王家遠縁だったモラクス様は非常に疎まれていた。

呪術で奇跡を起こす能力と野心が高かったこと、あと女癖も悪過ぎて嫌われていた…

顔も怖いし不気味だし可愛い子どもにはかわかって呪術でいじめるし

70のご老体が21の嫁掴んだし…


(おぬし言い過ぎじゃ…本当は儂のこと嫌いか?)


この戦で買ったら長男フォライー様を王位に即けろと、傲慢な願いも出していたし…

フォライー様は嫌がっておられましたが。


罪に苦しんでのうのうと天上で生きていた我に、烏王即位100年目辺りか

ある男が我に尋ねてきた。

末娘リノンが結婚する前日辺りに…


「この顔に見覚えはあるか…」

「…何用か、生憎我は生まれながら盲目でな…

顔は分からぬ」


「知ってますよ、あえて言ってみたかっただけです。

お久しぶりですマヒナ殿…この声なら聞き覚えはありますか?


儂の声も忘れたか、我が忠臣…いや、裏切り者。


私(あて)の声ぐらい覚えときやマヒナはん、山の女は怒らすと恐いですえぇ?


あたしは覚えてるよね?だっていつもユイムちゃんのせいでリストラ寸前のマヒナおじさんを庇ってあげたんだからさ…」


忘れもしない、モラクス様の声・オイリ様…そしてアイノお嬢様…


「…何故その声を出せるのだ…!!まさか…貴殿は」


「アイノはこんなこと、言いませんけどね。

お久しぶりですマヒナ殿…わたくしの声、覚えてますか?」


「…お久しゅうございます…王太子殿下…フォライー様」

跪いて忠誠の構えを取るが


「…やめてくださいよ、懐かし過ぎて泣けそうですね…いいえ、あの日からわたくしは泣けなくなってしまいましたけど。

さて、今夜は貴方の大事なものを一つ奪いに来ました。

忠犬の貴方なら、罪滅ぼしに許してくれますよね?」


「…我を裁きに来たのでしょう…ですが、せめて末娘の結婚式だけは出させてください…

それが終われば我はどうなっても構いません…妻の分まで生きてしまって苦しんでおりました…」


「命を取りに来たのではありません…

過去の約定通り、貴方の長女ユイムさんをわたくしにいただけないでしょうか?」


「…長女を、ですか。生憎長女はザドウ族のザン皇子から求婚されておりますが…

次女も弟ベヒモス殿下の妻にしたいと…ザン皇子から頼まれておりまする。」


「貴方まで出世欲に取りつかれましたか…はあ愚かしい…

適当に断っておしまいなさい。

あの兄弟は兄弟でホモっとけば良いんです。

弟の方はG(ゲオルグ)とでも結婚なさい。


貴方の主は誰ですか?死してなおモラクスに仕えるという誓いは?

ねぇ、マヒナ殿…」


「…長女を了承させることができたなら、どうぞ。

今の貴方は悪魔に魅入られている…我の主はモラクス様只一人。

遺言は守りますが…今の貴方は好ましくない。」


「随分と嫌われたものですね…まああの頃から、わたくしのことはそんな好きじゃなかったでしょう。


生意気ですねぇ、実に気に食わない。

分かりました、王太后に誓約立ててきますから…三か月以内に必ず落として見せます。

その後は、好きに使っても良いですよね…?美しく有能な所有物として。」


「…長女を、悲しませるなら我は悪魔堕ちしてモラクス様に告げ口します。」


「大丈夫ですよ、烏も悪魔も嘘つきですから騙すのは上手いんです。表面上はちゃーんと優しく可愛がってあげますから…

良き夫を演じればいいのでしょう、容易い容易い。

なので、よろしくお願いしますね。パパ上殿♪

元・王太子が貴方みたいな罪人家系の婿養子になってさし上げるのです、美味しい話でしょう?


短命家系ですから…どうしても不死の血が欲しくなったのです。

交わることで有り余る寿命と引き換えに伴侶に生命力を分け与える…その能力が欲しい。

そして我が古代王家の、モラクスの血を残したいのです。


どうにかしてあの忌々しいレイウ王家に復讐を遂げたい…奴等を父のいる魔界に堕としてやりたい…貴方なら理解してくれますよね?」


長女ユイムがまーた下着一丁で風呂から出てくる…我が視えてないからってだらしがない。

マノリタが生きていたら…笑顔で拳骨してくれるのにな。


「あら、パパ上どうしたのですか。また落ち込んで…

なんかリノンの結婚式から変な仮面デカノッポ クソヤローが言い寄ってくるのですわ…あれどうにか追い出してくれません?

なんでマヒナの敷地に入れるのですか。


ただでさえ全く面白くないヤリ目の姉妹丼ザドウ兄もうっとおしいのに…はあ、わたくしって罪な美女。」


「…その仮面クソヤローのことだがな、気を付けろなさい。

あれは悪魔憑きだ…関わると不幸になる。

何を言われても騙されるな、男は汚物・ヤリ目・プー太郎だ。

掴むなら誠実なザドウ族やオウギ族にしておきなさい。」


「ハーイ、パパ上~。

あの仮面クソヤロー、そこまで警戒しなくても只の電波でしたよ?

リノンの結婚式でも奇声発して場ぶち壊してましたし、まあゲオも酔っ払って暴れてコルボー殿と寝てしまったとかなんとか…」


「そ、その…私も記憶が無くて…気づいたらザドウ兄弟とマノヤと刑務所で寝てたのですが…

だだだ大丈夫ですわよね…私まだ淑女(おとめ)ですわよね?」


(ユイムさんが記憶無いって言い出したら、結婚式帰りにわたくしと寝てしまったとでも言っておいてください。

なんか流れでそんな嘘の悪評が流れてしまったみたいで(笑))


あの悪魔フォライー様に言われたことが離れない…


「ちょっとぉ…黙らないでくださいませパパ上ぇ…」

「…我からは何も言えん。」


心配だ…ユイムは腹黒いが騙されやすいところがある…

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