俺様帝王と月下美人・腹黒かぐや姫
- 鴉月語り部
- 2020年10月23日
- 読了時間: 10分

執筆日 2020/10/23
俺様帝王と腹黒月下美人の出会い
登場人物は烏王創世記の一期
マヒナ三姉妹とザドウ兄弟、ノックスとリノン
ザンがユイムに惚れたきっかけ
五つの部族のうち最大の領土と先進国であるザドウ帝國…
順当にいけば皇太子である私ザン・キサナドゥが皇帝になるはずだった訳で
天上に上がってもプライドだけは忘れなかった
自慢では無いが私はモテた
天上に上がっても縁談が絶えなかったぞ
しかしザドウの高貴な妻に相応しい女子がなかなかいなくてな…
どこかに大和撫子で巨乳で、慎ましいけれどどこか小悪魔的な愛らしさ、妖艶な微笑を持つ…
夫の一歩後ろを歩くけど時に引っ張ってくれるような
条件を備えた女子いないものか…
「…兄者、理想高過ぎるよ」
と末弟で生き残った唯一の弟ベヒモスが呆れる
そんな時、巷を騒がせる噂の『月下美人』が気になった
我が都合の良い友人・ノックスがその妹ジャスミンが気になっているらしい、巨乳らしい
黒髪の月の乙女…凄く気になるぞ
彼女を見てみようと使いを出し、邸に呼びつけたが返事が来ないどころか
ー はあ?お前が来いよ、何様だ。G(ゲオルグ)をお前ん家に放り込むぞ
と簡潔な返事が返ってきた
まあ、照れ隠しだろうか
仕方が無いので、私のお見合いの意味も含めたパーティーを開いた
やはり好きなのがアジアンなオウギ族の舞踊や武術、私の母の出身でな
唐突なエントリー者に舞台がざわつき
『飛び入り参加の月下美人・スダチ・ジャスミンだー!!!』
と盛り上がった
ノックス殿がソワソワしてうっとりして眺めていた
あー確かにジャスミンが一番巨乳だな
でも月下美人も…結構あるんじゃないか?
やっと月下美人を拝めたものの、簾と扇で顔を隠している
途中で灯りが消え、月夜に照らされ黒と紫髪がキラキラ輝いた
扇を離し、柔らかな微笑を浮かべる彼女は私を見つめていた
あの笑みに釘付けになって、目が離せなかった
(はい、ザドウのプリンス堕ちた♡)
(姉さん…ごめんね、裾踏んで)
(マノ姉ごめんね…扇顔にぶちあてて)
上から月下美人(ユイム)
スダチ(マノヤ)
ジャスミン(リノン)
(だから、咄嗟に灯りを消したのですわ
パフォーマンス成功ですわね…ウフフフ…)
※ちなみに、リノンは肉体年齢が14歳なので幻術で16歳ぐらいに見せていますのよ。
「…あの者の真の名は?」
と月下美人の名を側近に尋ねるが
「あの姉妹はさせそうでさせない、小悪魔的な淑女です
訳アリの名家のお嬢様と自称しておりますが…」
ー 自分で尋ねようと舞台裏まで行って彼女に名を聞いた
「月下美人、そなた名はなんと云う」
「…まあ、レディーに名を尋ねる時は自分から名乗るのが礼儀ですわ」
「知らぬ者はおらぬだろうが、我が名はザン・キサナドゥ
高潔なザドウの生き残りで皇太子だった者だ
さあ、貴女の名は?」
「…お教えできませんわ、身分が違い過ぎますもの
月下美人は月下美人であり続けないと…醒めない夢を与えるのが女優ですのよ」
袖で顔を隠すのも実に愛らしい
「強情な…益々気に入ったぞ
そなたは我が邸に連れ帰ろう
私と花を愛でながら月見でも…」
後ろでノックス殿がうんうんうん!!と首を縦に振る
こいつ…ジャスミン目当てか
「はあ?いきなりヤリ目かよ
初日から夜に家来いなんて…とんだプレイボーイだな
この甘ちゃんボンボン」
…月下美人とジャスミンに凄いこと言われたぞ
「そんな口を叩いたのも、そなたが初めてだ」
ー 廊下でベヒモスがスダチと話していて、スダチがベヒモスの口元の料理を拭いたのを見て制止した
「…高貴なザドウの皇族に何たる無礼な
処分は覚悟の上か」
「…申し訳ございません…あの…私はベヒモス皇子に頼まれて」
「兄者、俺の友達なんだよ!!」
とスダチを庇う弟
「お前もお前だ、容易く女子に触れさせるものではない
子ができるぞ」
(こいつまっじめー…なーんだ童貞かよ)
と駆け付けたジャスミンが遠目で小声で言う
「…ウェンカムの者は疫病で汚れているから今後一切我が一族に近づかないでくれ」
泣き出したスダチ、おろおろするベヒモス
前科持ちのジャスミンは必死に拳を抑えて
(こいつ…ゲオ兄に犯させるぞ)
テレポートで秒で飛んできた月下美人がこの気まずい雰囲気をぶち壊す為、ザンを思いっきり平手打ちした
「…病の者を差別するなんてあなた最低
貴方の亡きお父上・オイゲン皇帝は身分関係無く、分け隔てなく私達を可愛がってくださりましたわ
ザドウの生き残りなら亡き皇帝陛下の意志を尊重しなさいな
行きますわよマノヤ…潔癖差別クソヤローなんて相手にしちゃ駄目よ
この処分は長姉であるわたくしが全て受けますわ、法廷で会いましょう」
マノヤと呼ばれたスダチは姉に泣きついていた、ベヒモスが必死で笑かそうと
「俺…誇り高いザドウの皇族で警察官なのにこの前無免で逮捕されたよ」
と犯罪自慢をしている
「あたしも、前科持ち~
テメー、カバモス皇子…あの差別クソ兄貴どうにかしろよ、童貞の癖にヤリ目だし終わってんなザドウも
高貴なら高貴な烏王様でも抱いてろ、お似合いだ」
とジャスミンにも小声で思いっきり悪口を言われた
こいつ…今度冤罪で逮捕してやるから覚えとけ
「私の可愛い妹を泣かせるなら許しませんわ
今度はウェンカム族のユイム・マヒナの名を忘れないでね
高貴なだけのお飾り皇子様…」
手首のウェンカム族出身である証のタトゥーを見せつけて去って行った
ウェンカムか…
毛嫌いしていたからな、まさかあの七位の少女があんな美しく育っていたとは…
ー 帰ると祖父に投げ飛ばされ
あれから色々考えて、マノヤに謝罪しに行った
「…すまなかった
父に恥じない為にも、心を入れ替えようと思う
弟と、仲良くしてやってくれ…あの子は人懐こいが、身分であまり対等な友達ができなかった」
私に怯え、姉に隠れるマノヤに菓子折りを渡す
なお、謝ったのにこの後ユイムとゲオルグ、リノンにホモビデオ撮られた上に脅迫されたがな
なんたる屈辱…!
ー 「…あらザドウ様ごきげんよう
まだわたくしに何か用かしら?」
「…私はお前のこと、諦めた訳じゃないぞ
これから覚悟しておけよ月下美人」
「果たし状かしら、受けて立ちますわ」
「いや、文通してほしい」
ー そこからユイムのいるマヒナ医院に通い続けて数年
わざと骨折して通った、ベヒモスはマノヤとゲオルグ目当てで
友ノックスと中華娘(ジャスミン・リノン)の結婚式でユイムを口説きに行った
結婚式は七日間行われるからな、この七日で落としてみせるぞ…ユイム
外の空気を吸うと言って薄暗い廊下まで追いかけた
「…あらストーカー皇子様
あの件、考えておいてくださいね」
(マノヤがザン殿が好みだそうで、私が『家族になりましょうね』とこのストーカー皇子にさっきおねだりしたのですわ)
「そのことなんだが…二人で話がしたくて追ってきた
ユイム…そなたは美しい
なよ竹のようにしなやかに踊り、耀う紫髪
夜空のような瑠璃の瞳を持つ輝夜姫」
「あら当然ですわ」
なにコイツ…酔ってんのかしら、凄い情熱的な眼で視てきますわぁ
さりげなーく肩を抱くから凄い高速移動で避けてるのに、私の動きに付いてきますわ
「今夜、我が妻に…」
(訳 そろそろ口付けぐらいは許されるか?)
なになに、何なの…!?
ヤリ目だわ!!
腕を掴まれ、迫ってくる酔っ払いクソヤロー
こいつ堅い~、びくともしない~!妹達なら蹴りでぶっ飛ばせるのに~!
「ちょっと待っ」
乙女の唇を奪おうとするなんてクソヤローですわ!
唇と唇が触れそうになって覚悟決めると、なんか横から凄い飛び蹴りが命中してガチャピンの着ぐるみ来た謎の烏が立ってましたわ
わたくし、その場でへたり込んでしまいましたの
「ゴメンネーキグルミでミエナイノー
ウヴェピン ドジダカラー
ツイ、ヤッチャウンダ」
ガチャピンだけど最後マックのドナルドの声でしたわ
「いやあああああ!!!カバのポリスメーン!
この変態ヤリ目ポリスメンが私を無理矢理襲おうとしたのー!」
と、ポリスメンを呼ぶと速攻で駆け付ける便利な制度になってますのよ
ポリスメンはザドウで結成されてますから、こいつがポリスメンの総帥になるはずなのですけど
助かったぁ…乙女の唇は守り切りましたわ
ベヒモスが来て逮捕されましたのよ
「あの、助かりましたわ…どなたが存じませんがありがとうございました」
着ぐるみから一瞬で早変わり、高身長の仮面スレンダー紳士でしたわ
私の手を取って立ち上がらせてくださりましたのよ
「…レディーが簡単に男に付いて行くものではありませんよセレーネ(かぐや姫)
気を付けなさいな
男は汚物、ハイ複昌!ハイッハイッハイッハイッ!!」
と手を叩くからノリで
「ハイッハイッハイッ!!」
と返しましたわ
「では、ごきげんよう
最終日にまたお会いしましょう
プリンセスセレーネ
お休みなさい」
と一本の薔薇をくださりましたわ
ー 完全に失敗した気がするが、五日目に私は賄賂…金を積んでユイムのパパ上殿に了承を得たぞ
「…どうしてわたくしも貴方の隣なのかしら」
左からユイム・ザン・マノヤ・ベヒモスの席順
ザドウの高貴な席にいていいのかしら
「ユイム、お前と私の婚約が正式に決まったぞ
マノヤとベヒモスも
もう貴女の父上が了承済だ」
上機嫌でカクテルを飲むザン
「はあ?お待ちなさいな、私何も聞いてな…
金積んだだぁ…?あんのクソジジイ…そんなことでOKしやがったのか」
「…らしいよ」
キレるユイムと普通に座るマノヤ
「まあ、嫌よ嫌よも好きのうち
婚約期間中に惚れてもらうさ、よろしくな許嫁殿」
と手を握ろうとするから
「キャアアアアアアアア!!?
このポリスメン、下半身握らせてきたぁ!!オールドスノウポリスメーン!!」
「お前、冤罪なんて本当に悪質だぞ…
説明しよう、この場合飛んでくるのは我が祖父に当たり、ザドウの上皇にして早撃ちガンマン…イゴール・イェーガー・キサナドゥが飛んで…」
ほらな、案の定私に雪玉を顔面クリーンヒットさせるんだぞこの祖父
ー 結婚式最終日
「…お金で愛は買えませんのよ」
「…知ってるさ、惚れてもらうまではお前と暮らせるだけで良い」
「…パパ上が決めたなら、腹を括りますわ
マノヤのあんな嬉しそうな顔見たら、わたくし…」
※マノヤはザンと結婚すると勘違いして喜んでいるだけ、姉と二人で嫁ぐと思っている
「…つまり、我が物になると?」
そんな嬉しそうに真っ直ぐ見つめられると弱いのですわ…
「…ちゃんと考えときますわ、式場は飛びっきり豪華になさいな」
「兄者、なんでそんなソワソワしてんの」
とベヒモスが冷めた目で兄を見る
「いや…その、なっ」
(訳 今から初夜が楽しみだな、ベヒモス)
「いやあああああ!!!ポリスメーン!!
私のしなやかで美しい体が目当てよこのヤリ目クソヤロー!」
なんで今のでわかったの?
剛速球の雪玉がまーた私とベヒモスに当たる…
ベヒモスなんかしたか?
「…ユイム、お前本当に覚悟しとけよ
生涯離さないからなぁ一生苦しめぇ…!」
一生苦しめの元ネタは『僕たちがやりました』でも見てくれないか
「コイツ亭主関白で束縛ウザそう~
ワンパターンな口説き方しかしなさそう~」
「陰でフーゾク通ってそう~セーラー服と手錠プレイとか好きそう~」
と離れた席でジャスミンリノンとゲオルグが笑っている
ー 突如仮面紳士がパフォーマンスし始めて、会場に手品や大量のお菓子を振らせたのですわ
というか痛っ!いたたたた!!これ結構痛いぞ
「…待った!!
セレーネの花婿候補に立候補してもよろしいでしょうか、ヤリ目ザドウの皇子殿下
と言っても、わたくしは彼女の生まれた時からの正式なフィアンセですけどね」
と、周囲を騒めかせた
「ご機嫌麗しゅう、我が愛しのユィム・セレーネ・マヒナ嬢
覚えておいででしょうか?」
跪いて私に薔薇を渡してくださりましたわ
「…誰?」
「…ユィムさんお久しぶりです、わたくしですお兄様です
よくお金あげて一緒に寝たりチューしたり」
全く記憶に無いのですが、とんでもない過去が出てきてザドウの妻に相応しくないから周囲の大反対が凄くて、ザン殿とは婚約破棄になりましたのよウフフフ…マジかぁ
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