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長編 千夜一夜編5

  • 3月8日
  • 読了時間: 6分

執筆日 2023年11月

アヌビスの末裔、父と子

第五夜? ジャッカルを名乗るアヌビスの末裔ユルゲンとゲオルグの戦い。

相変わらず下品なギャグ多め。


――――来た。

静かに黒い犬が砂丘に佇み、砂嵐を起こしている。


「ちょちょ…!!あれどうにかしろ!

近づけねぇどころか視界が悪過ぎる」


「大丈夫ですかゲオさーん!!」


「大丈夫じゃないですーゴーグルくださーい」


「それがー貴方の分だけ無いんですう~!」


「なんでだよぶち殺すぞ!」


「だってぇ~貴方が自分で寝返りうって壊したから無いんですぅ~」


「お前が死んでいいからそのガスマスク寄越せ…って言いてぇけどお前のお古使うぐらいなら死ぬわ」


ザンの奴さっさと来いよ!


黒い犬はこちらを静かに見つめ、砂嵐を強めた。


「通訳しろ!真面目に戦えって言え!ゲホッゲホ!」


「えーワンちゃんだから犬語で話すべきですか?


こんにちはーわんわんだよぉ?いないないポン!

わんわん達今日ねぇ、命日かもしれないよぉ」


あーコイツ殺してぇ。熱で頭がイカてやがる…いつもの事か。


――――結局ザンが来て砂嵐を抑えてくれた。


「間に合ったな!大丈夫かお前達、死んでないな?」


「何してたんだよ」


「…どのタイミングで加入していいかわからなかった。

お前達が楽しそうだったし…そのまま戦闘を楽しみたいのかと。」


今は空気読もうとしなくて良いんだよ!


砂嵐が収まり、犬が獣人の姿になり、更に人型を取った。


…おいおい、コイツも全裸だぜ

って事はやっぱ女も全裸になるんだよな?わー見てぇ!!!

最後の姉ちゃんはセクシーな美女希望してるんだけど痩せこけた女っぽいんだよなぁ…萎える。


真面目に服を着替えてきた男の顔を見ると驚いた。



コイツ…俺とキャラかぶってやがる。

顔も同じで、大鎌までかぶってやがる…

おいおい打ち合わせぐらいしてこなかったのか?


正確に言うと俺より色黒で目も隈がはっていた。

俺よりちょっと細くて根暗そうかな。


「…キャラかぶり気になっちゃうんだよねぇ…」


(あれは、どう見ても血縁ですね)

(だな、恐らく奴の父親では無いか?

母親が娼婦で指名手配の盗賊を相手にした時にできた子であろう…)


ウーヴェとザンは魔術で会話している。


(お前達、ここの砂漠荒らす良くない

我はここの主)


「おーい通訳!」


「えーっと…

こんにちは!ぼく、けものフレンズ!

ユカラ語いがいで、おねがいします!


(何言ってるかわからない、我等言葉持たない、歌かユカラ語で話せ)


「あなたも、話せない?OKOK

キャンノットスピークユカラ!

キャンノットスピークケレイト!


歌えばいいんですか?

ぼくたち、ともだち!けものフレンズ!」


(お前、友達じゃない!

我等の同胞沢山殺した…許さないよ。

こんな馬鹿に付き合う程我暇じゃない。


そっちの金髪!お前どこかで見た事ある顔…

お前のその大鎌は!!!


ミーナの!我の妃ミーナに渡した婚約鎌!

さてはお前…ミーナのストーカーか

!!!)


(…ナニイッテルカワカリマセーン

ミーナに拘ってるのだけは伝わりました…ミーナ、愛か!)

「わかりましたゲオさん!愛です!彼は愛を強く求めています!

抱いてあげてください(笑)」


「あーもうお前つかえね、死に晒せクソ」


思いっきり飛び蹴りされ流砂に落ちたウーヴェ。

あの時やられたウヤくんがほくそ笑んでいた…


「なんか凄い怒ってますよ?

あーもう僕とザンさんが代わりますね。


『私達はレイウの者です、貴方が冥界のユカラ王ですか?』」


ノックスにバトンタッチした。

さすがはノっくん優秀な外交官!


(いかにも、我がユカラ王よ。

お前、話通じそうね。

我と同じ無個性でモブ顔している、悲しい宿命背負ってそうね。)


「なんだとお前ぶち殺すぞ!!!

ゲオと同じ顔でムカつくんじゃー!」


落ち着けノっくん


「あー私に代わろうマイクテスマイクテス…

っ!!!

私の時だけ絶対マイクにハウリング音入るよな、ここでも嫌われてるのか?


『ごきげんよう、下民の王よ。

失礼ですが貴方は男狂いですか?

私の叔父でよければどうぞ結婚してあげてください。


それで和平と行きませんか。』」


(緑の雄お前、話しかけるな!!!

お前の顔大嫌いね!我の父奪った、我の弟バタも殺した!

その嫌な音我がやったものよ


もう一度聞くよ、そこの金髪

お前ミーナの愛人か?

その大鎌返せ)


「…だそうだぞ、ゲオルギオス」


「はあ?ミーナってどのミーナだよ知るかよ

やだよこれは俺が盗んだ大鎌なんだからやらねーよ

それよりオジサンの大鎌ちょうだい?」


「ギジェルミーナ、彼の母親の名です。

ユカラ王はギジェルミーナと深い仲なんじゃないですか?」


(違う、我はミーナのストーカーしてただけ…

ミーナからは嫌われてたし二度と来るな!!!って住所も電話番号も変えられた。

我、凄く悲しんだよ…

下手くそとか早いとか言われて、あれからEDになってタマも失くした)


「だ、そうです…こんな汚い訳はザンさんにして欲しかったんですけどね。」


「ババアのストーカー?アイツ恨み買いまくってるから星の数程いるしどーでもいいわ。

俺あのババアの話されるの大っ嫌いなの

『黙れしね玉無しヤロー』って言っといて」


(…我の同胞沢山殺したね許さないよ…

そこの金髪、ミーナとこの鎌かけて勝負ね!

我の鎌はタナトス、お前の鎌はヒュプノス!


相手の寿命を奪う死と眠りの大鎌よ…


本当は片方はバタのだったけど、我バタ大嫌いだから隠すつもりでミーナにやったよ。)


双子の鎌が交差する。


――――(我、気付いた…

この激しい雷撃…父と同じもの…まさか…お前は…

お前は我とミーナの…)


涙を流し、ユルゲンは手を止めた


「…殺らないなら俺勝っちゃうよいいの?」


(お前、本当に強く大きくなった!

我嬉しい…ずっとお前に会いたかった。

ミーナとお前を探してた。


ミーナが我に似た息子連れてたと酒場で聞いた…

一目会いたかった…7つのお前とミーナの肖像画見た。

間違いなく我の子だと確信した…)


「ゲオルギオス…」


訳さないからここわからなかったわ…


「はあ?なにってんの?頭おかしーんじゃないの!


さよなら不気味なストーカーオジサン、二度と俺の名前呼ばないで。

大嫌いなのその名前…」


あの女が他人行儀に呼ぶから、イラーナが馬鹿にする時だけ呼ぶから。

だから俺はゲオルグに改名したの。

愛するマノリタが喜んで呼んでくれるからこっちの方が好きなの。


首を刎ね、死体は黒い砂となって大地に消えていった。


(ミーナ、愛してた…言葉通じなくても鎌は婚約の証!

ミーナ、代金と勘違いした…


性格も言葉もミーナと同じ…我嬉しいよ)


ユルゲンは満足して消滅し、冥界に還った。


――――「あのーゲオさん、非常に申し上げにくいのですがあの方は恐らく貴方の実父だと思いますよ。

ギジェルミーナさんの話と一致してますし、何よりも顔が一緒です。


ギジェルミーナさんが変なストーカー客に襲われて懐妊してしまったって言ってたじゃないですか。」


「は???

俺が?あんな根暗の?」


「私もそう思う、なんだお前気付かなかったのか?

ユルゲンもゲオルギオスに由来する名前だぞ。」


「先に言えよぉ…もっと聞きたいこといっぱいあったじゃん(泣)


俺、父親結構気になってたんだよね。

盗賊王って聞いてたから絶対バクラだと思ってたじゃん…


何はともあれ砂漠異変は無事に戦死者を出さずに終了した。

まあ帰りの道中でガラクタ博士(ウーヴェ)死にそうだけどいっか。

そっちはジジイ(パパレ)が暗殺しようとしてるけどコイツ邪魔だもんなぁ…仕方ないわ。


…父親ねぇ。

アンタに拾われてた方が俺は確実に幸せだったんじゃないかと正直怨むよ。

あんなダセー根暗なゲオさんになるのは嫌だけどさ、クソ女共に悩まされる人生じゃ無かったよ。

やっぱ神なんていないね!

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